突然の旅人

大した話はない黒坂修のアホ旅日記

そんなこんなで今年も暮れていく

8月のウズベキスタン編以来の更新である。その後の人生、いろいろあったが、まだ禁煙は続いている。もう禁煙してから7ヶ月近くになるが、今すぐにでも4〜5本いっぺんにくわえて一斉に点火してモクモクになってニコチンを吸い込みたい。どれほどの快感だろうか。これまで60年の人生の3/4はタバコと共にあったのだからまだまだ抜けられないのだろう。

先週は沖縄にある会社の社長さんと息子の常務さんという実に善良で明るいお二人にお世話になり初めて宮古島へ行った。12月の宮古島の最高気温は22度くらいであり、陽がさせば半袖でゴルフが出来る。

海鮮料理店「海の幸」で食った伊勢海老、鰹、鯛などの刺身は絶品だった。「海の幸」は船を持つ宮古の漁師一家がやっている店だったが、俺はこの店を別にすれば滞在3日間で誰一人本当の宮古島人に出会わなかった。タクシーの運ちゃんも、ホテルスタッフもゴルフのキャディーも飲み屋のホステスもみんな大阪や北海道からの移住者だったのである。宮古島の公式人口は5万1000人ほどだが、実際には6万人以上であり、増え続けているらしい。来年にはどうしてなのか2番目の空港が完成し、空港へ至る全長3.5キロの巨大大橋は400億円の巨費を投じて3年前に開通している。俺が見た日は車はほとんど走っていなかったが・・・。また、島内ではリゾートホテル建設ラッシュが続いていて大量の建設作業員が集結しているようだった。国際観光アイランドを標榜する宮古島は完全なバブルであり、今はさとうきび畑だが、那覇の繁華街と同じくらいに地価が跳ね上がっている場所も多いと聞いた。
・・・俺には何の関係もないが宮古島は何の取り柄を売りにして客を呼ぶのだろうか・・・
沖縄本島のリゾートはもちろん、ハワイに至る広大な太平洋上は楽しいことが何でも揃っていて天候も安定したパラダイスアイランドだらけなのである。

シギラリゾートというところでゴルフをやったが、海岸沿いの南斜面に南欧風の高級ビラが続いていた。各コテージに専用のプールと広いテラスがあって1泊8万円くらいとキャディーが言っていた。キャディーは「中国人、韓国人は風紀を乱すので宿泊できません。中国人、韓国人はあちらの外れにあるテラスやプールがない箱型のホテルに泊まる決まりです。」と言っていた。キャディーの65くらいのおばさんは千葉からの移住者だったが、中国人、韓国人のゴルフで酷い目にあっているらしく「そうするしかないんですよ」と言っていた。箱型ホテルは海に面してはいるが、テラスどころかバルコニーすらなく、強い西日を浴びてひっそりとしていた。時々、奴らが怒ってトラブルになることもあるそうだが、どうあってもプール付きビラエリアには入れないそうである。毅然とした立派な経営姿勢だと思う。沖縄のゴルフ場も韓国人が多いが、刺青を入れた奴が風呂場の脱衣所で携帯で大声で喋るみたいな光景に時々出っくわす。最近、徴用工問題やレーダー照射問題など、半島関係の腹立たしいニュースが多いが、過去何百年間、いや千年にわたって辿ってきた歴史を考えれば、我々とは同じ種類の人間ではありえない、生き物として犬と猫ほど性質が違うのだと思うしかないのだろう。

これは10月始めに行われた長崎くんちである。ブログ空白期間の秋口以降に出かけた各地についても少したどってみたい。長崎出身の女性社員に「今年のおくんちは出し物がすごいですよ!」と聞かされて出かけたのだが、その通りのものすごい盛り上がりの会場から、連れてきてくれた人の目を盗んで俺は脱出したのだった。

大人数ででかい船を担いでグルグル回したり、巨大な盆栽みたいなやつを一人で担いでドヤ顔になったりするのを観ても俺には楽しさがまったくこみ上げてはこないのである。それよりも大盛況のおくんち会場神社のすぐ脇の商店街の寂れ方を眺めながら、もう半年はもたないはずの薄汚い喫茶店で不味いコーヒーを飲んでぼーっとすることの方が好きな俺はひねくれ者なのだろう。東京からくんちに同行していた長崎出身の57歳の男は、僕の故郷の誇りにケチをつける酷い人だ、と言っていた。

10月にはポール・マッカートニーがやってきた。ポールの東京ドームライブは10年少し前の来日時に観に行って以来だった。
76歳のポールはやはり衰えが目立っていて、声の張りや艶はもちろんだが、それ以前に、バラード以外では声を張り上げ潰して歌いしのぐしかなく、きれいに発声することすらができなくなっていた。ほとんどをポールが作曲した美しいビートルズナンバーの数々であるが、そのままのキーで歌い続けることにやはり意味があるのだろう。
俺は確か中学1年の時「レットイットビー」のロードショー上映があり観に行った。だから、すこしだけリアルタイムビートルズを知っている。中学生や高校生だった俺は、ビートルズ解散後もポールのアルバムが出るとすぐに買いに行き、その度にビートルズとはかけ離れた作品群にがっかりを繰り返していた。

11月の宮崎ダンロップフェニックストーナメントの翌日に同じピンセッティングでプレーするゴルフ会に今年も参加した。何度か書いた53歳の昭和漫才師顔ゴルフ狂との今年の戦いはあと1戦を残すのみとなり、20勝25敗で俺の負けが決まっている。俺は、往生際や負け際が悪いタチの悪いゴルファーであり、今年後半はゴルフ狂のロングパットが入るとボールを池に投げ入れてやったり、ピンで殴ったり、ゴルフ狂がスイングする瞬間に自分のクラブを倒したりもしてみたが、やつは動じない強さを身につけていた。ゴルフ狂の方も、俺が密かにインチキクラブや反則ボールを使ってないかチェックしたり、パットの打ち方のルールが変わったことで俺の打ち方は反則であると難癖をつけたりして俺の調子を崩そうとしていた。
来年はどんな手を使ってでも雪辱を果たす。奴に見つからないようにパターのシャフトを曲げておくのもよいだろう。




上は米原から北陸本線特急「サンダーバード」で福井に向かう途中、次は北陸新幹線の黒部を過ぎたあたりから北アルプス方面の車窓、次は客を見たことがない信州松本浅間温泉の朝、下は誰も買わないばかっ高い蟹が並ぶ金沢近江町市場である。どれも仕事でニ〜三カ月に一度は通り過ぎる何ということもない景色だが、こんな景色に心が癒される。

4Kテレビを買ってみた。4Kで観るまでに少し手こずったが、なかなかよいものである。世界紀行もの、芸術鑑賞もの、辺境や山岳海洋冒険ものなどでは圧倒的な威力を発揮してくれる。しかし、「寅さん」はダメだった。名カメラマンによるソフトフォーカスでの日本の美しい風景や帝釈天参道のどこか現実離れした人波や昭和の匂いが漂ってくる寅屋の茶の間の語らいが、風のない人工セットの中で化粧をした俳優により演じられているように見えてしまうのである。
やはり映像というものはなんでも高精細ならばよいというものではないようだ。高精細を超えた光と陰と色彩とフォーカスによる映像芸術というものがあり、それは少なくとも当面はテクノロジーが追いつきようがない領域なのだろう。